「既得権」とは

こんにちは。
行政書士事務所ETHICA代表の古谷です。

風営法には、「
保護施設からキャバクラ等の社交飲食店との間には一定の距離を置かなければならない」という趣旨の規制があることはこちらの記事でお伝え致しました。

しかし、
 
「キャバクラの50メートル以内に保育園があるのを見たことがあるぞ?それはどうなっているんだ?」
とお思いになられた方がいらっしゃるかもしれません。

こういったケースには、「既得権」と呼ばれる考え方が働きます。

今回は「既得権」についてをお話致します。

「既得権」により保護施設の近くに社交飲食店が営業していることもある

既得権とは

「保育園や学校の近くに、子供たちの成長に際して害になり得る店舗を置きたくない。」
「一定の距離、社交飲食店と保護施設を離してしまえ。」
このような考えから風営法には保護施設から一定の距離区域内にはキャバクラなど社交飲食店の営業許可は取れないという規程があります。

では、既に社交飲食店(ここでは例としてキャバクラを挙げます)があるところのすぐ近くに、
後から保護施設を設立する場合はどうでしょうか?

この場合、既にキャバクラが設立・営業されているという「既得権」が存在する為、管轄する警察署からしても
「この近くで新たに保護施設が設立される予定なので、キャバクラを廃業して下さい。」ということは出来ないのです。

つまり、結果的にキャバクラが保護施設のすぐ近くで営業することになっても、既にキャバクラが設立・営業されていたのであれば、「既得権」により営業を続けることが可能です。

そのため「キャバクラのすぐ近くに保育園がある」
というケースが存在するのです。

社交飲食店が近くにある学校へ子どもを通わせるかの判断は(一般的に)親御さんですし、
そのような環境で新たに学校を設立しようとする(その学校にちゃんと児童・学生が集まるかどうかの
経営的判断をする)のはその学校の運営主体ですので、善し悪しはそれぞれで考えなさいということですね。

既得権に該当しない例

また、もう一つ例を挙げお話させて頂きます。

これから開業を検討されているお客様から、
「この建物の2階で既に風俗店を営業しているので、新たに借りる3階でも営業して問題ないでしょうか?」
というお問い合わせを頂く事があります。

この場合は「既得権」の範疇に入りません。

何故なら、2階の風俗店が営業を開始した後に一定距離内に保護施設の運営が開始されている場合、
同じ建屋であっても3階で風俗営業を行う許可を取れないケースがあるからです。

このように、物件ひとつとっても様々なケースがございます。

ご自身で判断なさらず、まずは専門家にご相談頂く事がベストです。

問題ないと思って営業を開始したら法律違反だった、なんて事になれば元も子もないですからね。

弊所では物件の調査含め、お客様が思い立った時から開業に至るまで、丁寧にサポートさせて頂きます。

気になる事、聞いてみたい事、何でも構いません。

疑問に思う事がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

今回は以上と致します。